高気密高断熱住宅で薪ストーブは使用できる?

高気密・高断熱住宅に住んでいる方の中には、冬の暖房として「薪ストーブを設置したい」と考える方も多いでしょう。しかし、薪ストーブは燃焼により二酸化炭素や一酸化炭素を発生させるため、空気の流れが制御された省エネ住宅では注意が必要です。ここでは、まず高気密高断熱住宅の仕組みを整理し、その上で薪ストーブの利用可能性について解説します。
高気密高断熱住宅の仕組み
高気密高断熱住宅は、家の隙間を極力減らし、断熱材を十分に使用することで室内の温度を一定に保ちやすい構造になっています。この特徴により、冷暖房効率が良く、省エネ性能の高い住宅を実現できます。
また、2003年以降に建てられた住宅には「24時間換気システム」の設置が義務付けられており、常に空気を循環させる仕組みが導入されています。これは住む人の健康を守るために不可欠ですが、外部からの空気や内部で発生する空気の圧力差に敏感な構造であるともいえます。
薪ストーブと省エネ住宅は相性が悪い?
薪ストーブは、本来であれば煙突を通して燃焼ガスを屋外に排出する仕組みを持っています。しかし、高気密高断熱住宅では24時間換気システムが常に稼働しているため、室内が「負圧」になりやすい環境にあります。その結果、本来は煙突から外へ排出されるはずの煙や二酸化炭素が、逆流して室内に入り込む可能性があるのです。
つまり、従来型の薪ストーブをそのまま高気密住宅に導入すると、換気システムと薪ストーブの排気が干渉して、室内に有害ガスが充満してしまうリスクが高まります。そのため、省エネ住宅と通常の薪ストーブは基本的に相性が良いとは言えません。
高気密高断熱住宅用に適した薪ストーブはある?
近年では、高気密住宅でも安心して使えるように設計された「外気導入型薪ストーブ」が登場しています。これは通常の薪ストーブとは異なり、燃焼に必要な空気を室内からではなく、屋外から直接取り入れる仕組みを持っています。
この方式により、室内の気圧や換気システムの影響を受けにくくなり、安全に燃焼ガスを外部へ排出することが可能になります。
外気導入型薪ストーブの特徴

外気導入型薪ストーブは、床下や壁に専用のダクトを通して屋外から燃焼用空気を直接取り込み、燃焼後の排気は煙突を通じて外部に排出します。これにより、室内の空気をほとんど消費せずに燃焼が可能になるため、高気密住宅でも安全性を確保できます。
さらに、薪ストーブ特有の遠赤外線効果で身体の芯から温まる暖房効果はそのままに、24時間換気システムとの干渉を最小限に抑えられる点が魅力です。
【通常の薪ストーブと外気導入型薪ストーブの比較】
項目 | 通常の薪ストーブ | 外気導入型薪ストーブ |
---|---|---|
燃焼空気の供給 | 室内の空気を使用 | 屋外から専用ダクトで供給 |
換気システムへの影響 | 室内が負圧になり逆流の危険あり | 室内圧力に左右されにくく安全 |
健康面リスク | 室内にCO・CO₂が充満する恐れ | 有害ガスを屋外に排出できる |
設置コスト | 本体費用のみ(比較的安い) | 本体費用+外気導入工事(5万〜9万円程度) |
適した住宅 | 伝統的な住宅・隙間の多い家 | 高気密高断熱住宅・省エネ住宅 |
外気導入型薪ストーブの設置費用
外気導入型の薪ストーブを導入する場合、通常の薪ストーブ本体価格に加え、外気導入のための工事費用が必要です。
設置工事費:約3万円〜5万円
合計目安:約5万円〜9万円(本体価格は別途)
この費用はストーブ本体代とは別にかかりますが、高気密住宅で薪ストーブを安全に使うためには不可欠な投資といえるでしょう。
高気密高断熱住宅と暖房の相性
高気密高断熱住宅は、外気の侵入や室内の空気漏れが少ないため、従来の住宅に比べて少ないエネルギーで快適な温度を維持できる特徴があります。しかし、その反面で暖房器具によっては室内の空気環境に悪影響を与える場合もあるため、選び方が重要になります。特に燃焼系の暖房(薪ストーブや石油ストーブ)は、換気システムと干渉する可能性があるため、外気導入型や電気式の機器が推奨されます。
高気密高断熱住宅で使える代表的な暖房の種類
暖房方式 | 特徴 | メリット | デメリット | 向いている家庭 |
---|---|---|---|---|
外気導入型薪ストーブ | 薪の炎を楽しめる、外気から燃焼空気を取り込む | 遠赤外線で芯から温まる、デザイン性が高い | 設置費用が高い、薪の管理が必要 | 自然派志向・炎の雰囲気を楽しみたい家庭 |
ペレットストーブ | 木質ペレットを燃料に自動燃焼 | 操作が簡単、炎を楽しめる | 燃料購入が必要、ランニングコスト増 | 手軽にストーブ生活を楽しみたい家庭 |
床暖房 | 足元から部屋全体を均一に加温 | 快適で乾燥しにくい、空気がきれい | 初期費用が高い、施工が必要 | 小さな子供や高齢者がいる家庭 |
エアコン(ヒートポンプ式) | 冷暖房兼用、省エネ性能が高い | 光熱費が安い、手軽に使える | 空気が乾燥しやすい | 共働き家庭・手軽さ重視の家庭 |
蓄熱式暖房機 | 夜間電力で熱を貯めて放出 | 室温が安定、電気代を節約できる | 本体が大きい、初期費用高め | 電化住宅・安定した暖房を求める家庭 |
1. 外気導入型薪ストーブ
前述の通り、外気から燃焼空気を取り入れる方式の薪ストーブです。薪の炎を眺められる「暖のある暮らし」を実現しつつ、高気密住宅でも安全に設置可能です。
デメリット:本体+工事費用がかかり、薪の準備や煙突掃除などの手間が必要。
2. ペレットストーブ
薪の代わりに木質ペレットを燃料とするストーブです。燃料が規格化されているため着火が簡単で、温度調節も自動化されている製品が多いのが特徴です。
デメリット:ペレット燃料の購入が必要で、薪よりはランニングコストが高い。
3. 床暖房
床下に温水パネルや電気ヒーターを設置して、足元から部屋全体を温めるシステムです。高気密高断熱住宅では熱が逃げにくいため、床暖房との相性が非常に良いとされています。
デメリット:初期費用が高め。温水式の場合はボイラーのメンテナンスも必要。
4. エアコン(高性能ヒートポンプ式)
最近の高効率エアコンは、寒冷地でも十分に暖房性能を発揮できるようになっています。気密性の高い住宅なら少ない消費電力で室内を温められるため、省エネ性に優れています。
デメリット:温風が出るため乾燥しやすい。薪やペレットのような「炎の雰囲気」はない。
5. 蓄熱式暖房機
夜間の安い電力で蓄熱し、日中に放熱する暖房機です。気密性が高い住宅では特に効率的に機能し、室温を安定させやすい方式です。
デメリット:本体が大きく設置スペースが必要。初期費用が高め。
また、快適性を重視するなら床暖房、省エネ性を重視するなら高性能エアコン、ランニングコストを抑えたいなら蓄熱式暖房機なども有力な選択肢です。
つまり、
・雰囲気重視派 → 外気導入型薪ストーブ/ペレットストーブ
・快適性重視派 → 床暖房
・省エネ・コスト重視派 → ヒートポンプエアコン/蓄熱式暖房機
と考えると分かりやすいでしょう。
外気導入型の薪ストーブがついた高気密高断熱住宅の見積もりを予算オーバーしないように抑えるには?

外気導入型の薪ストーブがついた高気密高断熱住宅の見積もりで予算オーバーしないように抑えるには、相見積もりを取り、ハウスメーカーや工務店の見積もりを比較することです。
高気密高断熱住宅を依頼できる会社は、ハウスメーカー・工務店・建築事務所など各県に数多く存在します。理想のプランや費用で対応してくれる業者を探すには、複数の会社・業者を比較しながら見定めます。
相見積もりとは?
相見積もりとは、数社から見積もりを取り、価格や費用を比較検討することを意味します。
高気密高断熱住宅を安くするには、相見積もりが重要となりますが、相見積もりを自分で行うと手間と時間がかかります。また、優良会社を見定め依頼をしないといけないので会社探しが難しく最悪の場合、悪質業者に依頼することがあり、想定以上の高い費用で高気密高断熱住宅を行うことになってしまいます。そうならない為にもオススメなのが、一括見積もり無料サービスを利用しましょう。
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